水仙考

きょうは2月にしては珍しく、朝からたくさん雨が降りました。
水が好きな水仙をお届けしましょう。

(それぞれの写真内をクリックすると大きい画面に変わります。)

これは熊谷守一 の「水仙」という作品です。
1956年(昭和31年)

シンプルな中にも6枚の花びら、葉先が丸くなっているところなど、
特徴が正しく捉えられていて好ましく思います。
水仙が投げ入れられているガラスっぽいコップ?の色使い、また、
画面の配置にやはり画家らしいセンスを感じます。

水仙の最も古い絵は、ギリシャ神話で有名なミノス王の宮殿
クノッソスの壁画とのことです。

さて、水仙はもともと中国から伝わったものですが、日本各地の
海岸に野生化したらしいです。
そして、あまり花が美しいので昔から庭に植えたり、お花屋さんで
売るようになったのです。

水仙は美しい花ですが、実ができません。
知っていましたか?
だから種もできません。
土の中にある鱗茎と呼ぶ丸い球が分かれて増えます。

鱗茎とは?
私たちが食べている玉ねぎもラッキョウも、鱗茎を食べているのです。
花が咲いても実ができないのは、雌しべや雄しべが不完全なためです。
ところが、蜜柑や柿は花が咲いて実はできますが、それに種が入って
ないのがよくありますね。
ことに蜜柑は種がないのが普通とされてますよね。

植物はモモや梨や林檎のように、花が咲いて実ができ、
その中に種があるのがあたりまえなのです。

そこで蜜柑や柿のように、種なしの実は食用としては賞賛されて
いますが、これでは植物は仲間を増やすことができなくなります。
これらの植物では、挿し木や接木で仲間を増やしているのです。

元に戻って、水仙は種がなくても鱗茎によって仲間を増やす
ことができるので、花は種を作る必要がなくなり、形だけは完全に
見えますが、実際は無駄花になっているのです。

ジャガイモもやはり花が咲いて実も種もできない植物の一つです。
その理由もまた、水仙と同じで、人が食べる部分、即ち塊茎と
いうものによって仲間を増やすことができるからです。

美術から理科の話になってしまいましたので、このへんで・・ヾ(^^;)